
まさかの登場!PESさん、音楽と海を語る。
日本を代表するHIP HOPアーティストの一人であり、サーフィン好きとしても知られているPESさん。数ある楽曲の中には海にまつわるものなどもあり、日々の活動の中にも海とのつながりが感じられる瞬間が多いアーティストです。そんなPESさんにぜひサーフィンの魅力や海について思うことなどを伺ってみたいと海のそなえ事務局がインタビューをお願いした所、なんと快諾のお返事が…!
今回は音楽とサーフィン、そして海をこよなく愛するアーティスト PESさんのインタビューを2回に分けてお送りしていきます。「大きい波に乗ることを音楽に例えたら…?」などなど、アーティスト、そしてサーファーという2つの目線を持つPESさんの素に迫るお話も伺えたので、どうぞお楽しみください!
(プロフィール)
PESさん
HIP HOPアーティストとして2001年より活動を開始し、2018年まで人気HIP HOPユニットRIP SLYMEのMCとして活躍。パフォーマンスから作詞作曲、楽曲プロデュース、グラフィックデザインまで幅広い活動をおこなっており、2018年には主催レーベル“HOLON SOUNDS”を設立。サーフィン好きとしても知られており、サーフ雑誌での連載やサーファーのためのフレグランスブランド「PADROL」を手掛けている。
オフィシャルWEBサイト https://www.pepes.jp/
サーフィンは人工的な部分が少ない、ものすごく自然に入り込めるアドベンチャー的スポーツ
―まずは、サーフィンとの出会いについて教えてください。
PES:
「音楽ばかりやっていないで海に行こう」と知り合いのサーファーに言われて、海へ連れて行ってもらったんです。中学2年生くらいの時だったと思います。サーフボードを渡されて岸辺の白波立った場所でばしゃばしゃ遊んでいたんですが、それがすごい楽しくて。
それまではいわゆるレジャーの楽しみ方しか知らなかったのに、初めてスポーツという角度で海にふれあったこの時、「面白い!」と思ったんですよね。それ以来、毎週一緒に海へ行くようになって、自分でも時間のある時には電車に乗って行くようになりました。
―サーフィンのどんなところに魅かれたんですか?
PES:
海という自然の中にものすごく入り込むスポーツという点が、魅力かなぁ。マリンスポーツには全体的にそういった類のものが多くありますが、サーフィンはそもそも海の中でやるものなので、人工的な部分がすごく少ないというか。自分が都会生まれという所もあるかもしれませんが、それがいつもいいなと思います。
海の近くで育って、一生サーフィンをやっている人もいますからね。一回海の中へ入って経験すると帰って来られないくらいハマる、行き続けてしまうという感じですね。それに、この西暦2020年でさえ、まだ誰にも見つけられていない、人が乗ったことのない波やサーフポイントが世界中にたくさんあるんですよ。アドベンチャー的な感覚を味わえるのも魅力のひとつかも。
―ずっとサーフィンを続けられていますが、これまでにプロサーファーを目指そうと思ったこともあったんでしょうか?
PES:
最初は思いましたが、1年くらいで難しいな…と断念しましたね。
世界のトッププロサーファーが日本に遊びに来た時、知り合いから「お前も来いよ」と誘われて海へ行ったんです。雑誌やビデオで見ていた人と海へ入ったんですが、「こんなに上手くならないとダメなんだ」と思いました。
まわりにも当然上手い人やプロを目指す人がいましたが、海に毎日入ってサーフィンができるというメリットはあるものの、努力がなかなか報われづらい、厳しい世界だなと感じました。
音楽とサーフィンは似て非なる、人生を楽しむための遊び
―サーフィン同様、音楽の道もかなり厳しいのではないかと…。
PES:
そうですけど、サーフィンって海に住むか海へ行かないとできないじゃないですか。音楽は楽器を手に入れればずっとできるので確率は高いし、上達できるスピードは音楽の方が早いんじゃないですかね(笑)。今もずっと続けていられるのは、ラッキーだなと思います。
―音楽の話が出ましたが、海で曲作りなどの音楽活動もされるんでしょうか?
PES:
スタジオがあればしたいんですよね〜。海で曲を作ることはあまりないですが、アイデア出しは海への行き帰りの車中が多いです。アイデアを出すために、わざわざ海へ行くこともあります。曲がある程度できて、じゃあ歌詞をどうしようかなって、考えたい時に「海に行こう」となりますね。
音楽を聴く時間というのも仕事の一環としてあるので、普段から人の曲を聴いたり、自分の作った曲を聴いて考えたりしていますが、家で聴くよりも海へのドライブやサーフィンをしながらというのがちょうどいいんです。音楽を聴きながらどうしようかなと考えて、海に入って、また聴きながら入ってっていう。
別にドライブが好きというわけでもないのですが、ただドライブしてぐるぐるするのもちょっと違うなと思って。海へ行くというモチベーションを持ちながらドライブするのがいいんですよね!
―音楽好きのサーファーの方も多いですが、音に乗ることと波に乗ることは感覚的に似ていますか?
PES:
どうなんですかね。近いのかな?あまり考えたことないですけど、でも例えば、「大きい波に乗るっていうのは音楽だったらどういうことかな」と思ったりはしますね。大きな会場で何万人という観客の前でパフォーマンスをすることが、大きい波に乗るということに似ているのかなとか。
楽しめたら勝ちっていうことですよね。緊張している場合じゃないっていう。でも、サーフィンって命懸かっているからそりゃ緊張するよと最後にはなっちゃうんですけど(笑)。
音楽は死なないし、サーフィンのようにコンテストなんかの勝ち負けもない。サーフィンとは似ている所もあればちょっと違う所もある、似て非なるものだと感じています。ただ、音楽もサーフィンもカルチャライズされているので、ある程度競技化されていたり、音楽もビジネス化されていたりします。
でも、もとを正すとみんなが生活する上で楽しむホビーや遊びのようなものの一つではあるはずなので、共通点は多いと思います。
今年は、来年のためのエネルギーチャージをする準備期間
―音楽活動については、今年はどんな活動状況ですか?
PES:
他のグループの曲を作ったり、自分もいくつかユニットがありますが今あまり動いていないので、新しくバンドをやろうかなと思ったりしています。
あとはフレグランス関係の仕事(フレグランスブランド「PADROL」を展開中)をしたり、YouTubeを始めたりといろいろなことをやっていますね。僕はYouTubeを見ることが日常化している世代ではないですが、そういうのを遊びでやっていたりします。
今年は新型コロナウイルス感染症の影響下にある中なので、いただいたお話はできる範囲で対応しながら、思い切って打ち出していくというよりは来年のための準備をしないといけないなと思っている状況です。
―今年はイベントの中止も相次いでいますが、イベント関係の活動についてはいかがですか?
今年は中止で来年に開催したいという感じですね。こういう状況の中でオンラインフェスとかオンラインライブとか新しい形も出てきましたし、それはそれでコロナ前の元の状態に戻った時にどんな効果が出るか楽しみですけどね。
―オンラインライブの開催予定などもあるのでしょうか?
PES:
関連システムを作っている友達と裏方をやっていこうか〜とは考えたりしていますが、ライブをオンラインでやっていきたいというのは今の所ないですね。
僕のライブはお客さんとのコミュニケーションがあって成り立っていくものなので、「俺を見ろよ」というタイプのライブができないんです。そこはオンラインライブ向きではないというか、ライブ配信は少し苦手だなと感じている所です。マネージャーがやれと言ったら全力でやりますけど(笑)。
***
いかがでしたか?第1弾の今回は、PESさんの感じられているサーフィンの魅力や海への想い、そして現在の活動を中心にお話を伺いましたが、次回(10月16日公開予定)は例年とは異なる状況だった今夏の海との向き合い方や海の危険に対する意識やそなえについてお話をじっくり伺っていきます!