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メディアは一体誰のもの?子育て層の心に寄りそう新聞社発のWEBメディア

東京新聞が運営するWEBメディア「東京すくすく」では、首都圏で子育てをする人たちに向けて、子育ての喜びや、疑問、不安を共有できるような情報発信を行っています。子どものいる親にとって、信頼のおけるメディアから正しい情報を得ることは、子どもの安全や安心につながる大切なことです。

今回は「東京すくすく」で編集長を務める小林由比さんに、「東京すくすく」立ち上げのきっかけや、子どもに関わるメディアが抱える課題、情報発信の際に重視していることなどについてお話を伺いました。

(プロフィール)
「東京すくすく」編集長 小林由比さん
東京新聞生活部所属記者。首都圏で子育てをする人たちに役立つニュースや、情報を届けるWEBメディア「東京すくすく」で編集長を務める。

「新聞だけでは必要な情報が親に届かない」を、WEBメディアで補いたい

―「東京すくすく」立ち上げのきっかけについて教えてください。

小林:
「東京すくすく」2018年9月にできたサイトです。それまでも私も含め多くの記者が、子育てに関する記事を読んでもらいたいと積極的に記事を出していましたが、どうしても紙面だけでは子育て層に情報が届かないジレンマを抱えていたんです。

「東京すくすく」をつくることを提案した後輩の今川綾音記者も同じ想いを共有する一人でした。どうしたら記事を読んでもらえるかと考えた今川は、新聞を読んでいないママ友たちに、自分の書いた記事をLINEで送ってみたところ、「こういう記事が読みたかったんだ」とポジティブな反応が返ってきたことで、「届け方」が大事だということを痛感したそうです。

記者だけでなく、広告担当や新聞社内のweb回りを担当している社員からも、子どもにまつわる記事をデジタルで配信できないかという声が出て、サイトをつくる話が具体化してきました。賛同者が増え、熱が高まっていたちょうどその頃、当時は文部科学省の担当だった私もメンバーに入りました。

最初のアイデアから2年半ほどかかりましたが、各局・各部を横断した全社プロジェクトとして、WEBメディア「東京すくすく」がスタートしたのです。

子どもに関する取材の過程で、保育園や学校で子どもの人権が守られていないんじゃないかと思うことが何度もありました。例えば今なら、新型コロナウイルス感染症の影響下において、学校が白いマスクじゃないとダメ、というといった話。

そんなことまで指定するなんて、子どもが1人の人として扱われていないと感じます。

安心や安全を目指すと、どうしても子どもに制約をかけることになりがちです。でも、子どもが育つ中では、制約だけではなく、のびのびできることが担保される必要もあると思いませんか。

制約をかけて何かをやめさせてばかりいると、自分の頭で判断することができなくなると思います。そうではなく、危険を知り、危機に直面したときに、判断できる力を伸ばさないといけない。

安全対策や予防をしながら子どもたちの人権を尊重し育てていく意識を、大人たちは持つべきということを発信したいです。

―“管理”と“予防”は本来別のはずですが、現状は混ざっているのかもしれませんね。

小林:
最近は、子どもの事故が予防できることが科学的にも明らかになっていますが、子育ての現場できちんと予防が実行できているかと言えば、そうではありません。集団保育を利用したい人が増えていることや、先生方がとても忙しくなっていることを考えると保育の質としては下がっているように感じます。

言葉を選ばなければ、子どもを大事だと思っていない社会なのかな……と思うときがありますね。

「なにを問題とするか」、「なにをニュースとするか」は、中にいる人の視点からうまれるもの。これまで、新聞などのメディアは男性記者が多く、女性や子どもの問題が軽視されがちな傾向がありました。

しかし、今は女性の記者が増えたり、女性が長く働き続けて意見が言える立場になってきたこともあり、メディアも変わってきています。報道も、「事故でした、事件でした」だけでなく、その後につながる教訓の報道量が、昔から比べると増えている実感があります。

だからわたしは、「女・子どもの問題を大切だと思い発信しているか」ということを常に意識しながら記事を発信していきたいと思っています。

子どもだけでなく親の危機についても伝えていきたい

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―水辺の事故予防は「そこに行かなければ大丈夫」と思われがちです。そういった大丈夫だと思ってしまう人たちに向けて、今後はどう伝えていかれますか。

小林:
「大丈夫」と思わないためには、とにかく具体事例を出すことですね。記者たちも問題意識を持っているので、夏のシーズンに向けて海や水辺の注意喚起記事を発信しています。

今年6月には、新型コロナウイルス感染症下で複数の海水浴場が閉設、学校の水泳授業がなくなるなど、いつもと違う状況の中で実施された水辺の事故を防ぐオンライン講座に関する記事を公開しました。また、昨年、一昨年の夏にも水辺の安全を訴える啓発記事を掲載し、毎年定期的に水辺の事故防止のための発信をおこなうようにしています。

【『東京すくすく』海や水辺の安全に関する記事】
コロナでいつもと違う夏、水辺の事故を防ぐオンライン講座 ドラマ形式で子どもが積極的に学べます
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/hoiku/32806/

どうしても紙面のみだと日々の情報が流れてしまうのですが、サイトでは記事の蓄積ができ、いつでも読み返せます。過去の関連記事もまとめるなど、読者にとって読みやすくしていこうとしています。

一方で、最も多い家庭の事故の事例は出しづらいという課題も抱えています。

学校や幼稚園、保育園は外に情報が出やすいのですが、家庭の事故は、情報を外に出すことで虐待や育児放棄と思われたりと、保護者の心配もありなかなか記事にするのは難しいんです。

そういう視点からみると、朝日新聞さんが1年間展開されていた特集「小さないのち」(https://www.asahi.com/topics/word/特集「小さないのち」.html)は素晴らしかったですね。子どもたちにまつわる事故や事故予防だけでなく、命や未来に対しての特集をつくり、家庭内の事故にも踏み込み、教訓を伝えていました。

「東京すくすく」でも今後、家庭内の事故事例を伝えたり、産後うつなど親側の危機も取り上げていきたいですね。

子どもが生まれるととにかくバタバタしてしまうので、子育て層はもちろん、子どもを持つ前から読者が考えるきっかけをつくっていきたいです。

***

新聞社発信の子育てメディアの現場から見た、子どもを取り巻く現状や今後の課題についてを伺いました。

大人たちに時間や心の余裕がなく、どうしても子どもたちを安全から守るために“管理”することが増えている現在。子どもたちに対する多くの課題は、大人の課題でもあります。子どもが希望を持ち、すくすくと育っていくために、どのように子どもと接していけば良いのか。意志をもって社会全体で考えていなかければいけないと改めて感じました。

大人に課題があるという目線を海や水辺でも取り入れることにより、海辺の事故を減らす一助となり、そなえにもつながっていくのではないでしょうか。

貴重なお話ありがとうございました!

東京すくすくについて、くわしくはこちら!
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/

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減らない海辺の事故、毎年平均30人もの子どもたちが犠牲となっている現状を変えるために活動しています。海辺のワクワクを安全に。noteでは最新の活動とメンバーの想いをお伝えします。私たちの活動は「海と日本PROJECT」の一環で実施しています。http://uminohi.jp/

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