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廃棄漁網の再利用で機能性抜群のスクールリュック「UMI」! 海、子ども、そして未来のために作られた「UMI」の誕生秘話に迫る

2015年の国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されて以降、さまざまな企業がSDGsに取り組んでいますが、2022年、ある企業が廃棄された漁網を再利用してこれまでにないスクールリュックを完成させました。作ったのは、「鞄の街」として知られる兵庫県豊岡市にある株式会社アートフィア―。今回は、アートフィア―の代表の土生田 昇さんにお会いして、スクールリュック「UMI」の誕生秘話や作り手として商品に込めた想いについて伺ってきました。

(プロフィール)

土生田 昇
株式会社アートフィアーの代表取締役。

ビジネスバッグを得意とする鞄屋が海、子ども、彼らの未来のために作ったスクールリュック「UMI」

ーまずは、株式会社アートフィアーについて教えていただけますか。

株式会社アートフィアーは、2006年に設立されたバッグのファクトリーブランドです。日本でも有数の鞄の生産地である兵庫県豊岡市には、特許庁から認定を受けた地域ブランド「豊岡鞄」がありますが、弊社はその認定企業になります。社名は、「Art(芸術)」と「Atmosphere(雰囲気・気分)」を掛け合わせた造語です。もともと全国の画材屋や文具店を中心に事業を展開していましたが、徐々に営業先が広がり、現在はビジネスバッグを中心にバッグの製造・販売を行っています。

ー「海を守り、子どもたちを守り、子どもたちの未来のために」をコンセプトとする、豊岡鞄スクールリュック「UMI」を作られた経緯を教えてください。

認定企業が集まった豊岡鞄の組合内で、SDGsをテーマに掲げる委員会が設立されたんです。今後の活動を模索する中で海をきれいにする活動に取り組む一般社団法人ALLIANCE FOR THE BLUEさんと出会い、その活動に賛同し、約2年前から地球環境に配慮した素材の開発などに一緒に取り組んでいます。さらに、日本財団さんが主催したプレスイベントに弊社の母体である兵庫県鞄工業組合の由利昇三郎理事長が出席した際に、小泉進次郎元環境大臣との対談で将来に向けた学童向け商品の開発にコミットメントをしました。これを機にスクールリュックの製造が進められ、これまでに何回も試作を繰り返した末、ようやく今年お披露目することができました。

ー学童向け商品の中でも、スクールリュックを選んだ理由は何だったのでしょうか。

小学校1年生くらいの小柄なお子さん達は、かなり重たい荷物を入れてランドセルを背負いながら、水筒や体操着を手に持って通学しています。その姿を見て、持ち物を一つの鞄に収め、なおかつ重荷によってかかる子ども達の身体にかかる負担を軽くしたいと思ったんです。弊社は、もともと機能性を追求した紳士用ビジネスバッグの製造を得意とするメーカーで、これまでに培ったノウハウを学童向けのリュックにも盛り込むことができるのではと考えました。
 
また、素材として廃棄漁網の再生ナイロンを使用することで、子ども達に環境に対する意識を持ってもらうきっかけを作ることができますし、教育的な意味合いも考慮して、スクールリュックを作ることに決めたという背景があります。

ナイロン生地には廃棄漁網を約25%配合、子ども通学をサポートする23の機能を備えた画期的商品

ー廃棄漁網を使った商品ということですが、どのように再利用されているのですか。

北海道の漁網回収企業が廃棄漁網の乾燥・洗浄・圧縮を行った後、素材メーカーが再生プラスチックの粒に加工します。さらに、その粒を糸に加工して織り上げて、ナイロン生地にするんです。UMIは、その糸を使って作られています。

ー「UMI」の製品特長などを伺えますか。

漁網再生材が使われていることも特徴の一つではありますが、UMIには「安心・安全」「使いやすい」「長く使う」ことを大切にした23の機能が備わっています。軽量かつ拡張時には15リットルの荷物が入る大容量に対応した設計になっており、荷物が多い日も両手に荷物を抱えることなく安全に登下校ができます。走った時に荷物が上下に動かないようにするための教科書固定ベルト、可動式の収納間仕切り、そして今や小学生の必需品となりつつあるタブレットを入れるための専用ポケット、ショルダーのずれを防いで歩きやすくするチェストベルトなど、子ども達の通学をサポートする独自の機能を充実させました。

また、3種類の芯材を使い肩にかかる荷重を分散させることで身体への負担を減らし、背負った時に軽く感じさせるショルダーベルト(ZeRoG®ショルダー)も独自開発し、取り付けています。重い荷物を背負うとベルトが食い込んで肩が痛くなりますが、UMIはその負担をかなり軽減することに成功しています。本当に画期的な通学用カバンだと思います。現在、BLUE、BLACK、PINK、REDの4色を展開していますが、今後新たに2色のカラーを出す予定です。

ー廃棄漁網以外に、環境への配慮として工夫したことはありますか。

この糸の他にも、リサイクルナイロン素材、YKKリサイクルファスナーを使用することで海洋プラスチックごみ問題の解決に貢献しています。また、UMIの売上の一部は海洋環境保全活動の寄付にあてています。

廃棄材を再利用するむずかしさを実感。子ども達の意見を聞きながら何度も試作を繰り返した

ー製造にあたり、苦労したことはありましたか。

ナイロンには廃棄漁網が約25%配合されていますが、廃棄された漁網なので、きれいに洗っても薄い色を使うと汚れが浮き出てムラになってしまうんです。濃い色を使えばムラは目立ちにくいのですが、デザインとしては淡い水色で海を表現したい。でもそれはなかなかむずかしくて……。色を決めることについては、試作段階でかなり苦労しましたね。
 
それから、どうしたらお子さんが使いやすい構造になるかという点を考慮して、プロトタイプから作り直して何度も検証を行いました。社員のお子さんにモニターになってもらい、彼らの意見を聞きながら時間をかけて作り上げていきました。

ー販売後、どんな反響がありましたか。

感触はすごくいいです。自社のショップだけではなく、百貨店さんや豊岡鞄のフランチャイズ店さんにも商品を置かせていただいていますが、お店の方からも高評価をいただいています。SDGsに対する評価もありますが、「荷物がたくさん入り、両手が空くので、子どもにも安全な商品」と機能性について良い反応をいただいたりもしていますね。

ーUMI販売後、作り手である社員の方達に何か変化はありましたか。

通常の鞄販売とは違う、少し変わった取り組みなので、UMIに対するマスメディアの注目度は高いです。メディアに取り上げられる機会も多いので、社員の作り手としての責任感や使命感もさらに高まっているように思います。

UMIが子どもたちの教育につながり、大切に使い続けてもらえる存在になれたら

ーこれから、UMIがどんな製品として世の中の受け入れられていきたいか、想いをお聞かせください。

子ども向けの鞄業界に参入したばかりなので、まずは認知度を少しずつ上げて、UMIを多くの方に知っていただきたいです。今は小学校でSDGsについて学ぶ授業があるそうなので、UMIが子ども達の教育につながり、なおかつ永く大事に使っていただけるような存在になれたらうれしいです。

ー今後、SDGsに関連した新商品の開発も行う予定はありますか。

男性向け、女性向けなどいろいろな商品を出しているので、また違う市場で商品を出して、少しでも海をきれいにすることに貢献できればと思っています。

ー最後に、土生田さんの海のそなえを教えてください。

豊岡市は、日本海のイメージがある街です。私も学生時代には海水浴場でアルバイトをしたこともありますし、溺れて亡くなられた方を間近で見たこともあります。やはり自然を甘く見てはいけない。お酒を飲んで海に入ってはいけないし、背の届かない場所で泳ぐことがあったらライフジャケットを着用するなど、自分の身をしっかり守って遊ばないといけないですよね。あとは、釣りに行くならゴミを出さないように気をつけるなど、気をつけるべきことをしっかり守ることが大切なのではないでしょうか。

***

地球にも人にもやさしい、UMI。私も実際にUMIを背負ってみたのですが、予想以上の軽さで衝撃を受けました。軽いというより、むしろ何も背負っていないと言った方が感覚的には近いかもしれません。機能性抜群な上に、環境にまで配慮している商品。スクールリュックとはいえ、大人でも欲しくなるのではないかと思いました。(特に自分はいつも荷物が多いので…)。これからいろんな方に知ってもらい、海や子ども達を守る意識が世の中に広がっていくといいですよね。

記事に出てきた気になる情報はこちら!
 
株式会社アートフィアー
https://artphere.com/
豊岡鞄スクールリュックUMI
https://umitoyooka.com/

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