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「海って、冬もめっちゃ良いんですよ」写真家・三浦安間に聞いた、鎌倉で暮らす理由

「朝起きて、窓から海が見える。それ以上に幸せなことはあるか?」
写真家の三浦安間さんが生まれ育った鎌倉を離れない理由は、お父様からのこの言葉だそうです。

鎌倉で生まれ育ち、現在も作品づくりの拠点は鎌倉の海だという三浦さん。三浦さんを惹きつける、鎌倉の魅力とは?娘さんと海遊びを楽しむ2つの三浦流の秘訣とは?三浦さんなじみの鎌倉、材木座海岸にて、海を眺めながら事務局磯野がお話を伺いました。


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三浦安間
1978年8月17日生まれ。海と山に囲まれた鎌倉で育つ。波乗りをしながら世界を旅し、海とサーファーを撮り始める。海での撮影をライフワークとし、ファッション、ポートレイトをメインに雑誌、広告、ジャケット撮影など様々な分野で活動中。


14歳で始めたサーフィンが、写真家へとつながる

―14歳のときに、鎌倉のケーブルテレビのイベントでサーフィンを始めたとのことですが、元々サーフィンに興味を持っていたのですか?

三浦:
母親から「イベントがあるから行ってみれば?」と勧められたイベントで、初めてサーフィンに触れました。元々生まれたときから海の目の前に住んでいたので、素潜りやボディボードなどで遊んではいて、自然な流れでサーフィンもやってみようと思い、参加しました。

初めてのサーフィンは難しかったんですけど、反面とても楽しくて。あっという間にのめり込んでいきました。今でこそ子どもにサーフィンを教えるときは、スポンジボードから始めますけど、当時は大人がコンテストで使うようなパッキパキのボードを使ってたので、最初のうちは苦労しましたね(笑)。


大学生になる頃には「サーフトリップ(※編集部注:サーフィンをしに旅行へいくこと)がしたいな」と思うくらいになっていて、お金を貯めるためにアルバイトを探していたら、母親の知り合いだった写真家の横山泰介さんが声を掛けてくださいました。それで大学生の間中、くっついてバイトさせてもらって。楽しかったですね。

横山さんのアルバイトがきっかけになって、大学卒業後も写真の道に進みたいと思いました。卒業後は東京のスタジオに就職。みっちり基礎を学び、今では国内外を問わず、ファッションや海関係で広く撮影させてもらったり、泰介さんと一緒に鎌倉の魅力をファッションと絡めた仕事をしたり、鎌倉を拠点に色々やらせてもらっています。


365日、鎌倉の海をみるのが好きなんです

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―三浦さんは鎌倉で育ち、現在もお住まいとのことですが、作品のテーマにもなっている「鎌倉の海」の魅力を教えてください。

三浦:
鎌倉は大好きなんですけど、特別な海という感情は持っていないんです。朝起きて外を見たら目に入ってくる、当たり前の場所。落ち着くのが、良いのかな。

僕は海外での仕事も多くて、ハワイだ、モルディブだ、って南国の海もたくさん見てきたけど、鎌倉に帰ってくると「やっぱりここが1番落ち着くなー」って思います。四季が感じられる日本の海は、飽きないというのも好きな理由かもしれません。

夏は入道雲があって、秋になったらうろこ雲、台風の前は風が強くて波が高いし、冬は空気がピーンと張りつめて透き通った雰囲気になる。冬は朝日も最高にキレイだし、夕日も安定していて良い。冬の海、やばいですよ(笑)。そういうのを毎日見て、感じられるのが楽しいですね。

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▲三浦さんが見つめる、鎌倉の海移り変わり


―今は、奥さんと娘さんの3人で、海が見える家に住んでいるのですよね。

三浦:
そうです。実家もすぐ近くなんですけど、今は家族3人で、海が見える場所に住んでいます。でも実は娘が産まれる前に、ちょっと山のほうに住もうかと悩んだときがあって(笑)。

というのも鎌倉って海が目の前にあるので、津波についても昔から聞かされているんですよ。どこの家庭にもだいたい家の前に防災グッズが置いてあるし、親や祖父母から慣用大震災の話を聞いていて、「津波は危ない」ことを小さい頃から知っている。だから、もし娘に何かあったら…、でも海は好きだしな〜って考えていた時期があって。

もんもんと悩んでいるときに父親から、「もし津波が来なかったら死ぬ前に、海が見える土地を買えば良かったって後悔するのか。朝起きて海が見えることより幸せなことがあるのか。俺にはなんでお前が悩んでいるのかが解らない」って言われたんです。

それを聞いて、海の目の前に住むしかない、そう決めました。もう父は亡くなっているんですけど、今思えばカッコいい父親だったなーって思います。

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▲三浦さんファミリー!奥様もサーフィンをされるとのこと

三浦:
津波はたしかに恐ろしいけど、来るか来ないか分からないものをビビっていても仕方ないなとは思って、海の目の前に住むことを決めました。ただ、漠然と「怖いな」と思うだけではなく、僕らが親や先輩から教えられてきた海の危険な面や対処法、そして僕が身をもって体験した水辺の危険を、子ども達に伝えようと思っています


1番好きな地元の海をどう切り取るか、三浦さんのライフワーク

―心が安らぐ鎌倉の海で、波の満ち引きの一瞬を切り取った「ナミウチギワ」が生まれたのですね。

三浦:
そうですね。写真展を開催することになって、自分なりの表現で、目の前の海を撮りたいと思って、生まれました。「誰かに何か伝えたい!」という想いよりも、鎌倉の海って意外と良いよって気持ちが強かったですね。

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▲昨年末、ご自身のギャラリーで開催された写真展には、多くの方が来場されました。

三浦:
僕はモードなモデルさんを撮るのも、見たことのない海外の風景を撮るのも好きなんですけど、同じくらい地元の海の一瞬を切り取ることも好きです。生まれ育ってきた場所なので、肩肘張らずに自由に撮影できるというか。多少のプレッシャーは必要ですけどね(笑)。

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▲三浦さん作品「ナミウチギワ」シリーズ

三浦:
「ナミウチギワ」は鎌倉の海を、場所や状況が解らない抽象的な感じで切り取りたいと思って、試行錯誤しているうちにできたものです。今はいくらでも加工ができますが、やはり良い条件の時に勝ることはないので、年間を通して数回しかない、好条件の日を選んで撮影しています。

特に冬の朝は空気が張り詰めていて、その瞬間はとても好きな写真が撮れます。朝日が出る前の、ほんの一瞬なんですけどね。


―横山泰介さんと行っている「KAGAFURI KAMAKURA(カガフリ カマクラ)」についても教えてください。

三浦:
2018年に始まった、日本の古都鎌倉の価値を、ファッションを通して伝えようという取り組みです。"鎌倉プラウドを世界へ"を合言葉に、鎌倉出身のクリエーター、企業、自治体が協力して商品開発を行っていて、通販サイトでの購入が可能です。大人たちが本気で良いものを楽しみながら作り、子ども達へ向けて、鎌倉の伝統や文化を感じてもらいたいなと思っています。

シーズン毎に趣向を変えたアイテムを出していて、葉山在住の画家さんの作品とコラボしたり、鎌倉野菜のクズを使ってTシャツを染めてみたり。トライ&エラーをしながらやっています。


今後はもっと地元企業とのコラボをして、認知度を高めていきたいですね。お土産だったら鳩サブレ、レストランだったら珊瑚礁、ファッションだったらKAGAFURI…ってなったら最高だなと思います。地元の人に認知されて、お土産でも買ってくれるような、みんなが知っている鎌倉のものを目指したいなと思います。


子どもと海へ行く時は、「怖い、寒い」に1番気を配る

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―三浦さんが娘さんと海へ行く際に注意していること、心掛けている事をお教えください。

三浦:
自分が海好きなので、娘にも海を嫌いになってほしくないと思っています。だから、なるべく自分は海で危ないと感じる娘の行動があっても、笑顔で話しかけていますね。

子どもって敏感だから、大人が不安そうにしていたら怖がる。例えば、海で水をかぶった時に「大丈夫!?」と心配そうに声を掛けると泣くんです。でもこっちがニコニコ笑って「かかっちゃったね」って言うと、子どもも笑い返す。日常生活の中で、心配する僕の表情を見て泣いていた事があったので、海ではやらないようにしようと決めました。

あとは、子どもが海に行きたがる時だけ、一緒に行くようにしています。どうしても親は「一緒にサーフィンをしたい!」って気持ちが先行するんですが、大人が楽しい波は、子どもにとって難しい場合もあるし、強制してもストレスだと思いますしね…。

寒さについても、気をつけています。寒い時は海へ行かないことはもちろん、海からあがったらすぐにタオルで拭いたり、ウェットスーツを用意したり。大人が思っている以上に寒い思いをすることがあるので、こまめに確認したりしていますね。

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▲海の上での娘さん、最近はとても楽しんでサーフィンをされているそう


―お子さんへは海での注意点を伝えていますか?

三浦:
海に入っている間にだんだん流されて行くことがあるので目印を決めておくこと、僕たちはカレントと呼んでいる離岸流のこと、天気、風の向きなど、海へ入った時に都度、伝えるようにしています。緊急事態のときの対処法より、日常的な情報や目に入った事柄を伝えることが多いですね。あとは、僕自身の危なかった経験談とか。

体験しないと分からない事もあるとは思いますが、僕にできることって、伝える事なんですよ。海=海水浴場のイメージが強いかもしれませんが、海岸を歩くのって1年中できますよね。季節で変わる楽しさとかも、伝えて、感じて欲しいと思っています。


娘と共有できる、海の魅力

―最後に、三浦さんの印象に残っている「海のエピソード」を教えてください。

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三浦:
1番印象に残っているのは、娘が初めて波の上でサーフボードに立ったことですね。

娘は、海や魚を好きと言ってくれて、サーフィンに楽しさを感じてくれている。「海が好き」という気持ちは、娘の自発的なものなんです。それが本当にうれしい。ベッドの枕元に魚の本を置いたり、小さな洗脳はしましたが、興味がないとそれすら無視するはずなので(笑)。

あとは2020年の春から夏にかけ、ずっと娘と過ごせたのが幸せでした。娘が生まれてから、こんなに長時間一緒にいたことはなかったので、毎日が新鮮で、時間があれば目の前の海へ散歩しに行ってました。娘が本格的に海にハマったのは、この頃のおかげですね。

ボードに立てた時は娘も本当に喜んでいました。僕もめちゃくちゃうれしかったので、全力で褒めましたね。世の中が大変な状況ではありましたが、この日々は貴重で、良い経験をさせてもらいました。自分のエピソードもたくさんあるけど…結局娘のことになっちゃったな(笑)。

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三浦さん、ありがとうございました!
地元に暮らす人が感じている良さ。飛び抜けて素敵な訳ではないけれど、格好つけないからこそ、等身大で魅力的に映ることってたくさんあるな、と改めて感じたインタビューでした。

取材をさせていただいた事務局磯野が驚いたことは、KAGAFURI KAMAKURAの野菜染めのTシャツの色が、偶然生まれたというエピソード。染色の工程で、薬品と反応して生まれた色らしいのですが、すっごいキレイな黄色なんですよ…!ぜひチェックしてください。

三浦安間さんの最新情報はこちらから!
http://yasumamiura.com/
横山泰介さんとの活動、KAGAFURI KAMAKURAはこちらから!
https://www.shiffon-online.jp/fs/shiffon/c/kagafuri


今後も海や子どもにまつわる情報を発信していきます。 ぜひ公式Twitterをフォローして最新情報をチェックしてくださいね。

うれしいです!!!絶対またきてください!!!
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減らない海辺の事故、毎年平均30人もの子どもたちが犠牲となっている現状を変えるために活動しています。海辺のワクワクを安全に。noteでは最新の活動とメンバーの想いをお伝えします。私たちの活動は「海と日本PROJECT」の一環で実施しています。http://uminohi.jp/

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わたしたちの活動に賛同し、ともに“子どもの海の事故ゼロ”を目指す方への取材記事や寄稿文を掲載しています。海や子どもに関わる人たちが抱く、さまざまな想いにふれてみてください。

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